第一部 人間欲

終章 

彼方からやってきて地球をつぶさに調べた異星人が、故郷の星に帰り報告しました。

漆黒の宇宙に浮かぶ千変万化する白い雲をまとった青い海の輝く珠、地球ほどすばらしく美しい星はないでしょう。例外的に大きな衛星は満ち欠けを繰り返し、地殻に浮かんだ大陸は離合集散する。一年中花の咲き乱れ、生き物の笑い声の絶えない熱帯雨林。オーロラの空の下、海獣の群れ泳ぐ流氷の海。ああ、それから、自然に優劣をつけることはできないけれど、他のすべての自然を束ねたものよりも、比べることも愚かなほどに圧倒的に素晴らしい「人間」

小説人間欲目次
第二部 三島由紀夫の死 序章
自己紹介